Tango Textile

“丹後織物”

京都府北部・丹後地方は、日本海を横切った北西風が大江山連峰にぶつかり生まれるジメジメとした雨やぼってりとした雪に代表される湿潤な地域です。

雨の日が一年の半数以上ある気候が、乾燥するとプツプツ糸が切れる絹織物には適しており、奈良・正倉院の御物にある絁(あしぎぬ)に約1,300年前からの丹後織物の伝統を見ることができます。

織機がガチャッと鳴れば数万円儲かると言われた戦後の最盛期「ガチャマン時代」を経て、多種多様な2~2.5人程度の機屋を中心に、加工場、養蚕・製糸屋、組合、研究機関が山間の小さなエリアに密集した産地となりました。

国内有数の織物産地・丹後。今も街を歩けばガチャガチャと小気味いい機音が木造・土壁の古民家から聞こえ、丹後の生活の一部としての『織物』を感じることができます。

Hard-Twisted

“強撚”

丹後織物の最大の特徴は撚糸に見ることができます。

通常は500~1,000回/m程のねじり加え、糸の強度を上げて均一で扱いやすくする撚糸工程で、丹後では約2,000~4,000回/mの強いねじりを加えた扱いづらい強撚糸を製造します。

撚り方の工夫(片撚り、諸撚り等)、張力調整、密度の最適化が必要な「強撚糸を織る」ことは非常に難易度が高いとされますが、1,300年の歴史で育まれた丹後の職人は強撚糸を自在に操ります。

強撚糸の強力に縮む力を用いて、生地表面をあえて「荒らす」ことで作り出すボコボコとした凹凸(シボ)は、本来2次元的とされる織物を奥行きのある立体的な素材に変化させます。

丹後独自の強撚糸という変化軸は、生地を3次元で表現する技術は、ここ丹後にしかない世界最高水準の技術として注目されています。

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